2016年07月11日

ブルックリン

先日、映画館で「ブルックリン」を見てきました。
私にとっては「つぐない」の名子役だった、
シアーシャ・ローナンの存在感がピカイチの作品です。

ロクな仕事にもありつけず、未来に希望が持てない
アイルランドの故郷での生活に見切りをつけ
単身アメリカに渡るエイリシュ。
それは、妹思いの優しく美しい姉・ローズが
教会の神父様のツテを頼って
住む場所も、仕事も見つけてくれたから
実現したものでした。
離れてからも姉妹は頻繁に手紙をやり取りし
お互いを思いやります。
おそらく姉は、自分も本当は
広い世界に出てみたかったのでしょう。
それをエイリシュに託したのではないかと。

エイリシュはブルックリンにある賄い付きの女子寮に住み、
昼間はデパートで働き始めました。
しかしいきなり極度のホームシックに掛かり、
カフェでは訛りをからかわれ、
故郷を思い出して泣いてばかりで
接客中なのに笑顔も作れない。

そんな彼女を見かねて神父様が
夜間に簿記を学ぶことを薦めてくれます。
通ってみたら、案外授業は楽しいし学ぶ喜びもある。
エイリシュはめきめきと頭角を現していきます。
デパートの同僚や上司、女子寮の先輩達も
実はみんな親切で優しいし(おまけに美人ばかり!)、
エイリシュは周囲に助けられて
新天地での生活になじんでいきます。

そしてダンスパーティーで声を掛けてきた
イタリア系の移民、配管工のトニーとつき合い始めます。
トニーも単なるチャラ男かと思いきやまじめに仕事もしているし
彼の両親や兄弟も仲良し。将来の夢や展望もある。

恋人ができてからのエイリシュの表情は
まさしく「内面からにじみ出る輝き」にあふれ、
ナチュラルな笑顔が本当に素敵でした。
シアーシャ・ローナン、アカデミー賞の
主演女優賞にノミネートされていたんですよね。
「ルーム」を見ていないので何とも言えませんが、
まあ、彼女がオスカーを手にするのも時間の問題でしょうね。

ここからネタバレします。










総合評価としては「良かった」映画なのですが、
「清々しさ」を感じたと同時に思い切り「物足りなさ」も感じました。

移民として生きる選択をした女性の強さを描きたかったのだとすれば
かつてのアルバイト先の意地悪な商店主、ミス・ケリーの脅しで目が覚めて
ブルックリンに帰ることを決意した(ように見える)のはちょっと興ざめ。
本当は、トニーからの手紙で決意してほしかったのだけど
肝心のトニーとの恋愛も、初期のホットな時期に勢いで結婚した感があって
あまり深いものには思えず。

いわんや、アイルランドに帰ってから既婚であることを隠して
御曹司のジムとつきあい始めるくだりは棚ボタというか都合が良すぎる話で、
エイリシュに愛情があるようにはとても見えなかったのです。

ただ、シアーシャ・ローナン演じるエイシリュの瑞々しい表情の変化、
アイルランドカラーを意識したカラフルな衣装の着こなし、
少しぽっちゃりとしたボディラインもむしろ品があってチャーミングで
とても嵌り役だったと思います。
50年代のアメリカを随所に感じさせる映像もとても美しく、
映画館のスクリーンで見る価値はアリ。


ラストシーン、ブルックリンの街角で再会し
笑顔で抱き合うトニーとエイリシュ。
本当は、ここから始まる2人のストーリーを見たかった!
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2014年09月23日

チョコレートドーナツ

春からずっと観たいと思っていて
はぁ?今頃か!?という感じですが
先日ようやく観てきました「チョコレートドーナツ」。
以下、ネタバレしないように感想を書いておきます。

確かに「泣ける」という評判は嘘ではなかったです。
ダウン症のマルコを演じた少年の笑顔がとにかく愛らしくて、
これは「守ってあげたい」感が問答無用で押し寄せます。

実母に捨てられ、保護してくれたルディとポールに
「ここ、ぼくのおうち?」と問いかけるマルコ。
二人の頷きに満面の笑みを見せ、そして嬉しさのあまり涙ぐむシーン。
そんなマルコの肩をそっと抱きしめるルディの笑顔。

涙腺決壊。

ただ、ルディとポールがそこまでして
他人であるマルコのために尽くす理由が
よく判らないと言えば判らない。
ルディはもともと家族がほしかったからなのかもしれませんが、
その辺は明確には描かれておらず。

マルコの方も、最初は実母を慕う素振りが描かれますが
後半では「お父さん二人」のいる「おうち」に帰りたがります。
けれども3人が家族として絆をはぐくむ過程があまり描写されていないので
ちょっと説得力に欠ける感はある。

他方、ルディとポールがゲイのカップルであるゆえの
社会の差別については丁寧に描かれています。
さすがにアメリカでも35年前はこうだったのかと…。
ただ、差別を受けるルディとポールがひたすら気の毒な善人で、
差別意識を持つ人達が徹底して歪んで狭量な人間というようにも見え、
ちょっと図式化しすぎにも感じました。

存在感ではルディを演じたアラン・カミングが抜群。
彼はリアルでもバイセクシャルを公言し、
女性と離婚後、2度目の結婚は同性婚だとのこと。
そのせいか?映画では役柄のルディを地でいくような熱演でした。

ルディは歌手を夢見る、クラブのショーダンサー。
ポールに背中を押され、チャンスを掴んで夢を実現する暗示で映画は終わります。
そこに、差別に苦しむマイノリティの明日への希望が重なる。

ずば抜けて歌がうまい!とまでは思えなかったけれど
彼が歌う「T Shall be released」はとても良かった。
エモーショナルで、心に残りました。

なにぶん重いテーマなので観終わった後味も苦め。
ほろ苦いビターチョコレート。
でも希望も垣間見えました。
地味ながらロングラン中で
都内なら渋谷のアップリンクでも上映が始まったようです。

ちなみに原題は「ANY DAY NOW」で、
邦題の「チョコレートドーナツ」は秀逸と思います☆
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2014年09月22日

ギエムのボレロ!

もう3週間ほど経ってしまいましたが、
東京バレエ団の創立50周年祝祭ガラで
シルヴィ・ギエムのボレロを観てきました。

ギエムの舞台は今まで何度か観ていますが、
なぜかボレロに関しては未見。
ギエムのボレロを生で観ないでどーする!という感じで
とにかく3ヶ月前に急いでチケットを確保。
月末なのでスケジュールはキツかったのですが
それも覚悟の上でとても楽しみにしておりました^^

上演作品は5つで、ボレロはいちばん最後。
他の4作品についても正直な感想を書いておきますね。
あくまで私見ですので、もしムッとした方いらしたらスミマセン。

「ペトルーシュカ」:
マラーホフ、なんでもっと派手な演目にしなかったの?

「スプリング・アンド・フォール」:
ノイマイヤー振付。シンプルな構成で、こういうの好きです。

「オネーギン」:
残念ながらすべてが暗い…。
ルグリはタッパもあって華やかで舞台映えするけれど、
彼を呼ぶほどの見せ場がなくてなんだか気の毒。
吉岡美佳さんはキレイだった。

「ラ・バヤデール」:
上野水香さん、身体がきくのはよーーーくわかるんだけど。
柄本弾さんは良かったです。

…で、ボレロです。
生オケってやっぱり贅沢。しかもボレロ。しかもギエム。
この作品、円卓の上で踊るので動きが結構制約されます。
それだけに、芯を踊るダンサーの存在感がダイレクトにものを言う。

とても静かなところから、ごく小さな動きから始まって
徐々に周囲の男性ダンサーたちにエネルギーが波及し
あの印象的な旋律の繰り返しが高まりつつ振りと共鳴していく。
とてもドラマチックな構成です。

ギエムは現在49歳ですが、身体の柔軟性、
バネのようなしなやかさに衰えは全く見えず
日々のストイックな鍛錬がうかがわれました。
指先や爪先に至るまで確かな意思が宿り、
自在なコントロールが力強く、美しかった。

舞台を観ながら、私は自然にぽろぽろと涙していました。
感涙というのか、浄化作用に近い気がします。
ボレロの音楽が終わってしまうクライマックスのあの間際、
もっとこの舞台を観ていたいのに!と本当に惜しい気持ちでいっぱいでした。

昔、川口リリアホールに「椿姫」を観に行った時だったか。
カーテンコールで舞台前に駆け寄って花束を差し出した観客に
自分からサッと右手を出して握手していたギエムの姿を見て
気さくな人なんだな、と思ったことを覚えています。
そして東日本大震災が起きた時も、復興支援のために駆けつけて
とびきりの踊りを見せてくれた男前のギエム。

この日のボレロの時空間に立ち会えて幸せでした。
きっとベジャールも会場のどこかにいたんじゃないかな。
この作品をギフトとして世に送り出してくれてありがとう。

※ちなみにギエムは先月、2015年を以て現役引退の旨を発表。
 詳細不明ですが、日本でもさよなら公演があるようです。

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ロビーに飾られていたパネル。今は亡きベジャールとドンの写真も。

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2013年08月31日

映画「立候補」

先日、東中野のポレポレで『映画「立候補」』を観てきました。
2011年11月の大阪府知事選を取材したドキュメンタリーなのですが
注目された3強の候補者ではなく
4名の「泡沫候補」側に密着して描かれています。

選挙の結果は大阪維新の会の松井一郎氏が200万票超えの圧勝。
2位の倉田氏に80万票の差をつけたブッチギリの大差でした。
一方、到底勝ち目のない4名は…
どうして立候補したのか?映画を観てもよく判らず…

選挙活動もせず、取材すら一切拒否する人。
一人娘との生活が何よりも大事で、その娘のために
3強に続く4位になりたいという謙虚?な人。
選挙活動=駅前での挨拶運動になっているだけの人。
そしてあの有名なマック赤坂氏も4人のうちの一人でした。

強烈なキャラ立ちゆえ、映画はマック氏を中心に進行します。
幟を立ててタスキをかけ、運転手を務めるスタッフと二人だけで
街頭で地道に、そして時にはやや強引に独自の活動を展開する姿は
まるでドン・キホーテとサンチョ・パンサ。

維新の会の演説現場(街頭)に乗り込んで、
四面楚歌で野次られながらも怯まず
数分間だけ群衆の前で喋るチャンスを得て
スマイルパフォーマンスも披露。
最後には橋本・松井候補にエールを送りますが、
結果的には拒絶される。
橋下徹の天然のヒールっぷりがなかなか見ものであります。

そしてラスト近くの東京・秋葉原街頭のシーン。
大勢の自民党支持者たちが日の丸の旗を振り、
熱狂の渦の中に満面の笑顔で登場する安倍晋三。
手前で持論を展開するマック赤坂氏に
容赦なく浴びせられる罵声、嘲り。
「だったらお前ここに来て一人で演説してみろよ!!!」と
一人で反論をブチかますマック氏の息子。

このシーンを見て、私は聖書の
バラバの釈放のシーンを思い浮かべてしまいました。
バラバとイエスのどちらを釈放すべきかというピラトの問いに対し、
熱狂した民衆は「バラバを!」と叫び
理由も問わずにイエスを「十字架に掛けろ!」と
ひたすら叫び続けるのです。

いえいえ。
決してマック氏をキリストに重ねているわけではないのですが
あの日の丸を振る群衆の狂喜っぷりが怖かったのなんの。
この国はホントにどこに向かおうとしているのか?と
不安にならざるを得ない思いとともに
もしかしたらいつの間にか自分も
民衆に加担しているのかもしれない…という思い。

映画の中では羽柴誠三秀吉氏、
外山恒一氏へのインタビュー場面も出てきます。
都知事選の衝撃的な政見放送で
「ある種のネットアイドル」と化した外山氏ですが
インターネットの功罪についてはどちらかと言うと否定的。
「ネットによって全てがネタ化し、消費されるばかりになっている」
「身銭を切ってまで行動しようとする人はごく少数」
確かに、そうかもしれませんね。

泡沫候補たちが立候補し続ける理由は
この映画だけからは判りませんでしたが
ドキュメンタリーとして非常に面白いので観て損はないと思います。
ただ、画面の手ブレがあるので三半規管の弱い方はやや注意かも。
私はものすごく弱いので画面酔いしてしまい、かなり辛かったです。
内容は面白いのに、最後の方は
あまり目を開けていられなかった…残念。

そしてこの映画の主役ともいうべきマック赤坂氏、
先の参院選で目標得票数に達しなかったため、
立候補はもう断念されるとのこと。
今後は政治を手段とせずご自身の活動を続けられるそうです。

そして運転手役を務めていた秘書さんも
現在はスマイルセラピーのインストラクターとして
活動されているようでなんだか安心しました。

ポレポレではまだ上映中のようです。
興味があれば、おススメです!
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2013年07月16日

NYLON100℃「わが闇」

先日、ナイロン100℃の「わが闇」を観てきました。
結成20周年記念公演企画の第三弾だそうです。
ちなみに2007年の初演版は未見。
オリジナルキャストはそのままでの再演だそうです。
休憩を含めて3時間半の長丁場でしたが、飽きずに集中できました。
上田大樹さんの映像とのコラボも相変わらずスバラシイ。
そして三姉妹役の犬山さん、峯村さん、坂井さんを始め
キャスティングが嵌りまくりでとても良かった。
シリアスなお話なのに客席は何度も爆笑の渦に巻き込まれ…
特に大倉孝二さん演じる「大鍋あたる」が存在感すごすぎ。
携帯電話をめぐるやり取りなんて笑いが止まりませんでした。

物語は三姉妹の幼い頃から始まり、ラストは長女の柏木立子(たつこ)が
39歳ぐらいの時点までを描き、その後を暗示して幕となります。
なんとなく昨年観た「百年の秘密」とも通じる展開もあり、
峯村リエさんとみのすけさんの夫婦役は「黒い十人の女」での配役を思い出し
(しかも設定は全然違うのに、やはりみのすけさんが平手打ちされてたような気が…)
嵐の夜に居間で皆で踊りながら大はしゃぎするシーンは
昨年末の「祈りと怪物」で三姉妹が
居間で拳銃を撃ちまくりながらハイになるシーンと被りつつも
ちょっぴり昭和の残り香のある居間の風景
(洋間と和室が続いていて障子の引き戸がある/部屋の中心に電話が置いてある/
階段脇の柱の間隔が広くてバイパスして?降りられる/縁側から出入りできる等々)に
なんとなく居心地の良さを感じたりもしていました。


タイトルの「わが闇」は作家である立子が19歳の頃に書いた小説のタイトルで
彼女の作家としての名声を決定的なものにします。
内容は、精神に病を持ち自ら命を絶ってしまった実母と
家族との関係を書いた私小説(らしい)のですが
ほんとうの彼女の「闇」は父に素直に甘えられなかった自分自身への悔いなのかも。

劇中、父の幻影を見た立子は「お父さん!」と子供のように泣き叫びます。
そしてラスト近くに明かされる立子の近未来は、つらいどんでん返し。
子供の頃の思い出のアルバムに遺された父の言葉の数々が救いとはなるのですが、
その後の展開には触れずに物語は幕を閉じます。


東京公演はすでに千秋楽を迎えてしまいましたが、
この後は大阪、横浜、北九州、名古屋と巡回するようです。
東京を見逃してしまった方もまだ来週の横浜のチャンスがありそうですよ!
http://www.sillywalk.com/nylon/index.html
posted by masako at 21:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 見てきました。

2013年04月10日

ジャンゴ

先日、やっと「ジャンゴ 繋がれざる者」を観てまいりました。
すごく好き嫌いが分かれる作品だと思いますが、私は面白かったです。
165分という長尺ですが飽きずに最後まで観ることができました。
タランティーノ特有の(とよく言われますね)
長い会話がしばしば入り込む構成も私は全然気にならなかったです。
「袋」の話や「頭蓋骨」の話も、無駄なエピソードとは思えなかったし。

まあ、グロいシーンも結構あるので
そういう系が苦手な方にはお勧めできないですね。
私も得意ではないので奴隷同士のデスマッチシーンは
ちょっと薄目で見てました(汗
クライマックスの派手なドンパチは大丈夫でしたよ。
あれほど激しいとかえって爽快?かもしれません。
ラストシーンなんて…あまりに漫画チックで思わず笑ってしまったほど。

役者も個性派ぞろいで特にシュルツ役のクリストフ・ヴァルツの存在感が秀逸!
彼が主役なんじゃないかと勘違いしそうなほど。
ディカプリオも悪役でしたがやっぱり華があってオーラが半端ないです。
残虐趣味の農園主という役どころで、デスマッチに熱中する狂気の視線が怖い…
でもビジネスにはわりと誠実?だったりする。
執事頭の黒人、スティーブン役はサミュエル・L・ジャクソン。
かなーり重要な役でインパクトも大きかった。
ぎょろりとした目が不気味でした(最期は可哀想でしたが)。

ジャンゴ役のジェイミー・フォックス、
早撃ちスタイルは非常にカッコ良かったけれど
上記の3人に比べてしまうとちょっと地味なのですね〜。
だんだん服装がスタイリッシュになっていって
最後のワインレッドの衣装はとても似合っていたけれど。

ネタバレになるので詳しくは書きませんが
話の展開上、クライマックスが分割された感があって
ちょっと緊張が切れるのがやや惜しいような。
ほんの少しだけ、冗長に思える箇所も正直ありました。

もっとも疑問なのが、シュルツの人物像が今一つよくわからないこと。
奴隷制度に反感を持っていたことは確かとしても
徹底した人権主義者とも言い切れないし
なぜジャンゴをああまでして助けたのかちょっと根拠が弱い。
人種を超えた固い友情で結ばれていたのかもしれませんが、
それが育っていく過程は特に描かれていない。

ただ、この映画は社会派の作品というよりは明らかにエンタメ。
人種を超えて芽生えた友情とリベラルな人権意識を期待するよりも
奴隷制度と賞金稼ぎと西部劇が融合した
荒唐無稽かつホットなアクション映画と考える方が正解だと思う。
私はとても面白く観ました。
“イケそう”と思われた方にはお勧めですっ!!
posted by masako at 22:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 見てきました。

2012年12月31日

「祈りと怪物 〜ウィルヴィルの三姉妹〜(KERAバージョン)」

先日、KERAさん演出版の「祈りと怪物」を見てまいりました。
2回の休憩を挟んで4時間超えという長丁場にも関わらず
全くダレがなく、非常に面白かったです。

5月にもナイロンの「百年の秘密」を観て
今まで観たナイロンの芝居の中でベストかも!と思ったのも束の間、
数ヵ月後にあっさりベストが更新されるとはビックリです。
しかもこれ、書き下ろしの新作とはおそるべし…

百年の秘密でも好演していた犬山イヌコさんが今回もとても良い。
主演のドン・ガラス役の生瀬勝久さん、傲慢で冷酷な性格破綻者なのに
パワフルで魅力的という難しいキャラクターをブレなく演じていて格好良かった。
ただ母親と娘達の年齢から逆算するとドン・ガラスは70歳ぐらいのはずでは。
どう見てもまだ50代のギラギラの親父でした。
単に生瀬さんがカッコ良すぎなのか?

タイトルの「怪物」とは何を指すのか、考えれば考えるほど
いろいろな解釈ができそうです。
流れ者の「ヤン」の立ち位置がやや微妙かも…
ネタバレしたくないので詳細は書きませんが
彼が探し求めていたあの結論はなんとなく途中で予測がつくし
結局お話の流れを決定づけるものでもなかった気がします。
ちょっぴり、「百年の秘密」に通じる展開でもありました。

直接の描写は少ないけれどお話としては結構グロい悲劇です。
エロの方も女優陣が体当たりで潔いです
(と言っても期待するとまったく肩透かしだと思いますが)。
権力側にいる若者と被差別側の娘が恋に落ちるくだりなどは予定調和っぽいけれど
パブロ(近藤公園)の人間性を目覚めさせる手段として必要だったのかな。

ドン・ガラスの三女マチケ(安倍なつみ)の持つ
可愛らしさと残虐さの描写は秀逸でした。
それはあたかも、ネガティブな過去に閉じこもって生き続ける祖母を必死にかばう
トビーアス(小出恵介)の、開き直った残虐性の発露と
往生際の悪さの対比と呼応するよう。
もちろんマチケとトビーアスも悲劇のカップルなのです。

観ていない方も多いと思うのでこれ以上の詳細は控えますが
時間の経過は本当にあっと言う間で引きこまれました。
ラストに絶対もうひとひねり来るだろうと思っていたら
案外素直に終わったので「あれ?」という感じ。
チャンスがあったらもう1回観たかったです!
パスカルズの音楽も良かった。
ちなみにパーカッションはあの「たま」の石川浩司さん、
相変わらずいスゴイ存在感でした。

来月は蜷川演出版の公演がありますが
多分全然違う作品になるのだろうな、となんとなく予想。
個人的に蜷川氏の演出が苦手なので
観に行くかどうかはまだわからず…迷い中。


さて。
今年もあと数時間となりました。
書きたいことはあれこれあったのですが
なかなか書く時間が作れず、忸怩たる思いが。

それでも今年は収穫や進歩があり
いろいろな変化が起き続けているのも確かです。
さて来年は…??

それではどうぞどなた様も良い新年を。
来年も宜しくお願いします☆
posted by masako at 19:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 見てきました。

2012年02月22日

下谷万年町物語

また更新がえらく滞ってしまいました…
ご訪問下さいました皆様スミマセン。

ちょっと時間が経ってしまいましたが、
2週間ほど前に渋谷のシアター・コクーンで
「下谷万年町物語」を観てきましたので感想を少しばかり。
観ていない方にはわかりにくいと思いますが
粗筋ですら説明しづらいお話なのであえてバッサリ省きます。


ストーリーは…非常に難解。
ヒロインである男装の麗人、
キティ瓢田(宮沢りえ)の登場は第1幕のラスト。
池に飛び込んだ「洋ちゃん」(藤原竜也)に抱き上げられ
ずぶ濡れのまま息を吹き返すキティ。
彼女が登場するだけで
舞台の空気がグッと凝縮するように感じられたのは
さすがだと思いました。

華やかさとはうらはらに秘められた狂気、
6本指だの警視総監の帽子(=権威の象徴)だの、
奇妙な言葉遊びのやり取りが飛び交う中で時空が交錯し
薬物中毒の暗い影がちらちらと見え隠れしながらお話は進行します。

劇中にはダンスシーンもあり
宮沢りえは歌も踊りもソロで披露。
ただしこれはちょっと荷が重かったんじゃないかな。
特に踊りは、残念ながら全然タンゴに見えなかったので
それこそ本職の男性ダンサーに黒のタキシードを着せて
両脇に付けてあげれば良いのに!と思うことしきり。

宮沢りえは相変わらず細身でスタイル抜群、
露出が多くてもいやらしい感じは全然しないですね。
私は、何よりも彼女の持ち味は
迫力ある台詞回しと凛とした立ち姿の美しさにあると思うので
ダンスや歌に引っ張られ過ぎるのは勿体ない気がしました。
それともキティは実際には妄想状態だったという意味で
ダンスや歌があまり巧くない方が良いという演出だったのでしょうか?
もしかしたら「キティ=お瓢」が看板ヒロインを務める「サフラン座」は
「錯乱座」の言葉遊びなのかもしれない、と思ってみたり。

多数のキャストが客席から出たりハケたり
舞台上に掘られた瓢箪池にバサッと落ちたり、舞台空間はとても賑やかで
特に主演3人は何度も水を被ってずぶ濡れの大熱演。
ラストシーンで池に沈んだ3人はなんとカーテンコールで濡れた衣装のまま。
本当に大変だったと思いました。
私が出掛けたのは平日夜でしたが補助席まで出る満席で
会場内は熱気が充満してすごかったです。

しかしながら…
お話自体は私は好きではなかった(涙
それに女形で野口和彦さんが出演されていてとても素敵だったのだけど
この公演ではその他大勢扱いだったようでちょっと残念。
また主演3人の“キメ”のシーンで
やたらに音響が盛り上がり過ぎるのも野暮ったく感じてしまった…

正直に言うと蜷川演出がチョット苦手な私は
今回キャスティング(宮沢りえ、藤原竜也、西島隆弘)に惹かれてチケットを確保。
特に収穫だったのは「文ちゃん」役の西島隆弘、
舞台は初めて観ましたが役者としての資質はかなり高いと思います。
(おそらく無垢なるものの象徴である)13歳の少年という設定でしたが
観ていて違和感はありませんでした。
また別の舞台作品も観てみたいです。
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2011年10月19日

ユーリンタウン

先日、ミュージカル「ユーリンタウン」を観てきました。
流山児祥さんの演出作品を観るのは初めてでしたが面白かったです。
主演は別所哲也さん、長身で華のある2枚目なのに今回は悪徳警官役。
しかもお話の狂言回しも兼ねていて途中で自嘲気味にネタバレまでする…。
一筋縄ではいかないブラックなストーリーです。

主役のカップルを演じる二人の役者(今村洋一さんと関谷春子さん)、
役柄のイメージにピッタリでともに熱演でした。
装置は簡素なのだけどお話も役者たちも舞台からどんどんはみ出し、
劇場空間全体が「ユーリンタウン」の世界に侵食される感じです。
開演前や休憩時間中もどうぞご注意下さい(笑)。
音楽も生で楽しめるし、ダンスシーンもふんだんで飽きさせません。
そして2時間25分後に迎える、なんとも皮肉なラスト。

「革命」というある種の非日常な躁状態の中でも
ヒタヒタと進行する現実に冷徹に目を向けることの重要さ、
「未来」に希望があるかどうかはわからないというシビアな視線。
救いようのない話と言えばそうなのだけど、不思議と後味は悪くない。
あまりネタバレしたくないのでこれ以上は書きません。お薦めです。
大久保鷹さんの飄々とした存在感も印象的でした。


「ユーリンタウン」at座・高円寺1
10月30日まで公演中、当日券あり
HPから、当日精算の前売予約も可能
問い合わせは流山児★事務所まで
http://www.ryuzanji.com/
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2011年06月30日

泥リア

今日で一年の半分が過ぎるんですね。
早過ぎ…
でもアレからまだ
4ヶ月足らずというのが不思議過ぎ。

アレというのはもちろん、アレであります。
あの日を境にいろんなことが露呈して
いろんな希望と絶望が入り混じり
悩んで考えて署名したりツイッターしたりデモで歩いたり
そして未だにすべては現在進行形です。

アートやパフォーマンスの世界に関わる人々も
公演を自粛したり逆に敢行したり。
今月も6本ほどの公演に行きましたが
今回の震災にわりと真っ向から挑んだお芝居を1本観ました。
テーマが結構重くてなかなか感想を文字にできず
今までアップできなかったのですが
記憶が新しいうちにやはり感想を書いておきます。

初見でしたが「風煉ダンス」の公演、「泥リア」を観ました。
http://www.furen-dance.com/doroliar.html

シェイクスピアの「リア王」が下敷きにはなっているものの
オソラク震災後に急遽脚本を一部書き替えたのでしょう、
FUKUSHIMAを連想させる設定が随所に盛り込まれていました。

今や痴呆ぎみの主人公は昔は電力会社に勤めていた?
美しい自然の残る過疎の町に40年前、
「それ」は希望の光として迎えられた?
あるいは40年後の風景をさらに未来から見ているのか。
時制が入り組むような錯覚。
空間の使い方が縦横無尽で芝居の世界が
現実の世界に浸透してくるような臨場感。

福島とは言わないまでも、少々ガチすぎる表現があったり
謎めいた「名前のない少女」の正体もわりと容易に判ってしまうのですが
疾走感の溢れる展開に引き込まれました。
演劇の持つパワーは紛れもなく
人間の生きる力そのものから発していることを
あらためて感じた、そんな舞台でした。
ラストシーンの美しさはココロに沁みましたね。
音響も美術も装置も凝っていて素敵だった思います。

作者の林さんとは、
実はツイッターを通じて知り合いました。
HPで公演の詳細を確認したら
昨年末の「メゾン・ド・フジ」の舞台でご一緒した
役者の美佐穂ちゃんが出演していたこともあり
DMで連絡を取ってワクワクしながらせんがわ劇場へ。
初めてお会いしたリアルの林さん、とても笑顔の温かな方でした。
風煉ダンス、今後も機会があれば観に行きたいと思います。

ツイッターといえば…
どこかで見かけた確かこんなつぶやき。
うろ覚えなんですが。

『福島の人が「東京の人達のために電気を作っている」って
 誇りにしてたって聞いた…切ない。』


福島原発がとにかく一刻も早く収束することを祈るばかり。
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2011年06月21日

あわい

先日、おともだちの「ねこみみ」さんのソロ公演を観てまいりました。
昨年は行けなかったので2年ぶりだったかな…
http://nekomimi.ptu.jp/event/m110617/index.htm

とにかく、とても、シンプルで良かったです。
音源も使わず、装置も小道具も一切ナシ。照明も固定。
ダンサーの身体一つで46分の時空間を構築する様は潔いの一言。
派手な動きではなくゆっくりと語りかけるような展開、
見ている方も意識と無意識のあわいを漂って心地よかったです。
観客数も限られた方々だけでしたが素敵な小宇宙だった。

独舞の後はお約束、バイオリン演奏のコーナーとなりました。
数年前から独学で練習を始められたそうです。
緻密で幾何学的なイメージさえある
普段のねこみみさんとはチョット違って
アバウトな外し方がほのぼのしてて好かった。
いや、ご本人は至極真面目なんだと思うんですけどね。

そして公演終了後は観客も協力し客席をバラして皆でお片付け。
全員で労力を提供しあえばそれほどの負担ではありません。
その代わり、観客は入場料無料でこの公演を楽しめるのです。
小さなサイクルだからこそ可能な合理的システム。


ねこみみさんも実はヴィーガン。
ほぼ完全に純穀菜食を実践されているそうです。
最近、一ヶ月の電気代が1,000円を切ったそうで
冷蔵庫不要のナチュラル節電派ぶりであります。
無理なく実践できてしまうところがなんともスゴイ。
撮影される写真のセンスもとても素敵でファン多数。

ねこみみさんHP
http://nekomimi.ptu.jp/
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2011年06月15日

ブラック・スワン(ネタバレあり)

お待たせしました。
ネタバレ版の感想をようやくアップいたします。
ちなみにかなーり長文です。

ナタリー演じるニナは
ニューヨーク・シティ・バレエ団のソリストで
バレエ一筋の優等生。
テクニックに問題はないけれど演技の幅がなく
それを克服するために…という粗筋なのですが
これが全然、主人公の成長物語でもなければ
サクセスストーリーでもない。
しいて言えば…大人向けのブラックジョーク??

設定やキャスティングは絶妙。
ただホラーな演出はやや陳腐に思いました。
いかにも…という不気味な音楽が流れ始めて
必ず何か仕掛けが出てくる、
それもかなり古典的な脅かし方です。

それからとにかく「痛い」表現が多い。
心の準備ができていないと結構シンドイかも。
エロも子供にはキツいのでR15は正解。
というかR18でも良いのでは。

とにかく主人公の妄想と現実の境目がよく分らない話です。
むしろすべてはニナの心象風景なのかもしれません。
たぶん母親もリリーも演出家も
おそらくニナ自身の投影に過ぎない。

稽古場でも劇場でも自宅でもニナは孤独で常に苦しそう。
おそらくは自身の最大の庇護者である母親を最も恐れている。
母の管理下を外れたいと願いながら自立する術を知りません。

母親に反発してリリーとクラブへ遊びに行き、
たまたま出会ったバレエを全く知らない行きずりの男に
ニナは白鳥の湖のストーリーを説明します。
最後に呪いを解くのは愛の力だと。
ニナのこの力説は劇中に何度か繰り返されます。
悲劇なのはニナ本人がおそらく「愛の力」なるものを
頭でしか理解していないことです。
だからこそ黒鳥の踊りに説得力がないのでは?
黒鳥はこの映画の中で
官能やダークサイドの象徴のように扱われていますが
それ以上に人間の本心とか根源的な生命力とか…
そういう意味合いに感じます。

そしてとにかく主人公はうんざりするぐらい性格が受け身。
演出家の目の前で黒鳥のフェッテを失敗したのは
途中でリリーがいきなり入ってきたからと弁解したり。
母親と決定的な大喧嘩した翌朝に寝坊した彼女は
「どうして起こしてくれなかったの」と
小学生のような不満をぶつけます。
本番初日のリフトで意識が飛んで落下した後も
相手役の男性ダンサーが悪いと言い張る…

演出家(ヴァンサン・カッセルが好演)はニナに言います。
「自分を解放しろ」
「障害となっているのは自分自身だ」と。
サディスティックな演出家は、
官能表現の不足するニナに宿題として自☆行為を命じます。
そんなことで黒鳥が踊れるなら誰も苦労しないじゃん…と
唖然としそうな展開ですが、
さらにこれに易々と従うニナの妙な素直さが
多分いちばん問題。

しかしこの物語ではニナの自傷行為と☆慰行為が
ウラオモテで語られる仕掛けのようです。
親の望む良い子、演出家の望む良いダンサーになろうと必死になり
そしてジレンマからニナはしばしば自傷行為に及びます。
☆慰行為では快感も感じるものの、
どうも彼女は他人に与える喜びや分かち合う幸せを知らないらしい。
リリーとの妄想ベッドシーンもひたすら受身のまま。

ラスト、ニナは穏やかな表情で
「私、完璧だったわ」と自分に対してつぶやきます。
う〜ん・・・
私にはこのセリフが
「わたし、最高の☆慰行為をやり遂げたわ」
という意味にしか思えなかったのです。
納得したのはニナだけで
観客が呼んでいるのにカーテンコールにも出られない、
初日を迎えたばかりなのに主役が自傷行為で大怪我って
普通に考えたら大迷惑では…。

客席ではニナの母も(娘の熱演に涙を浮かべて)
熱い拍手を送っていましたよね。
ただ、あの客席の拍手喝采すらもニナの妄想なのかもしれない。
観客一人一人の顔を確認したら全員ニナの顔だったりして…

そしてなぜか劇場が
すごく小さく閉じられた空間にしか見えなかったのです。
大舞台という広がりが感じられない。
これもニナの意識が閉鎖的なことの暗喩?

それにそもそもどうして急に本番で
黒鳥の演技ができるようになったのか
全く描かれておらずその辺りも不明。
CGは面白かったけれど
鳥になっちゃってどうするんだ〜というか。
もっと言えば白鳥との差も
メイクや衣装以外には見えなかった。

なんとも滑稽にして哀れな結末、
でも主人公にしたらハッピーエンドなのかも。
フシギな後味の映画でしたね。
ただダンスシーンを含めたナタリーの熱演は見ごたえがあったし
キャストはそれぞれハマリ役で決して嫌な感じではなかったですよ。
ホラーテイストもどうにか許容範囲でした。
バレエはテーマではなくモチーフとなっているだけで
公演の舞台袖や楽屋などのバックステージの描写も
ところどころ奇妙なのですが
作られたエンタメなのだと割り切れば
2時間近く飽きずに見られて私は楽しめました。

ちなみに主演のナタリー・ポートマン、
無事に男の子を出産したと今日報じられていましたね。おめでとう!!
本当に、この映画が人生の転機になったんだなぁ。
女優としてはこれからがきっと楽しみなヒト。

この映画を観終えた今は…
彼女の出世作「レオン」と
本作のモトネタと言われている
「パーフェクトブルー」を観たくなっております。

長文失礼いたしました。
最後まで読んで下さってありがとう。
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2011年06月09日

ブラック・スワン(ネタバレなし)

先日、ナタリー・ポートマン主演の「ブラック・スワン」を観てきました。
バレリーナが主人公のホラー仕立てサイコサスペンスと聞いていたので
ホラーが苦手な私としては興味はあるものの躊躇も感じたのですが
観に行きたい!という思いが勝りました。
まだこれからご覧になる方もいらっしゃると思うので
ネタバレしない範囲での注意点と感想を書きますね。

まず、べつに「バレエ映画」ではないです。
バレエに興味がなくても楽しめると思いますが
「白鳥の湖」がどういう話なのかぐらいは知っておいた方が良いかも。
逆に、バレエシーンに過大な期待は持たない方が良いです。
また、ハンディカメラでの非常に「寄った」映像が多いため
ダンスシーンなどは目が回る場面がたくさん出てきます。
酔いやすい方はあまり前の席では観ない方が良いでしょう。

それから怖いシーンや痛いシーンがよく出てきますが
怖い場面は“これから出ますよ〜”という音楽がちゃんと掛かりますので
そういう雰囲気になってきたら苦手な方は注意しましょう。
痛い方については、私は「これは演出にすぎない」と割り切って乗り切りました。
主人公が、憧れの花形プリマ(ただし過去形)を訪ねて
病院に行くシーン(2度目の方です)だけは
結構描写が過激なので辛い場合は薄目での鑑賞がお薦め。

性的描写もイロイロ出てきます。
ただ、大人の皆様は大丈夫だと思います。
15歳未満は鑑賞不可ですので問題ありませんが
15歳以上の未成年者にはやや刺激が強いかも。ご注意下さい。

ナタリーがアカデミー賞主演女優賞を受賞した効果もあって
かなり話題に上っていますが賛否は激しく両論。
絶賛する人もいる反面、バッサリ斬り捨てる人もいます。
確かにちょっと見る人を選ぶ作品かな。
私の感想としては、エンタメとして割り切って観ると楽しめると思う。
ホラー映画に耐性はありませんが構えていたので大丈夫でした。
でも隣で観ていた女性は飛び上がっていたから怖かったのかも…
ホラーテイストが濃いと知らなかったのかもしれませんね。

次回はネタバレ満載の感想を書きます!
すでに鑑賞済みの皆様、お楽しみに。
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2011年05月10日

「アレクセイと泉」

また間が空いてしまった…気まぐれ更新でスミマセン。
「特集上映 25年目のチェルノブイリ」にて観てまいりました
「アレクセイと泉」の感想も記載しておきますね。
観に行ったのは5月5日、補助席も足りなくなるほどの盛況でした。

物語は淡々と進みます。
チェルノブイリ原発から約180キロ、
ベラルーシ共和国南東部にあるブジシチェ村。
ここはチェルノブイリの事故で土壌が汚染され、
約600人の村人達は避難を余儀なくされたうえ
村自体が地図からも消されてしまったらしい。
しかし56人の村人達はここに残ることを決めた。
その中には当時20歳だった若者アレクセイも居た。

アレクセイは小児麻痺の後遺症のため?身体に軽微な障害がある。
年老いた両親や馬や豚などの家畜達、犬や猫とともに暮らし
村唯一の若者である彼は皆からとても頼りにされている。

村人達の生活はほぼ自給自足。しかも手作業主体。
たとえば村の洗濯場の木枠を直すためには
なんと森に行って木を切り倒すところから始めなければならない。
電気は通っているらしいのだけどガスや水道はなさそうだった。
飲み水は皆バケツを持って泉に汲みに行く。
水を汲める体力がなくなったら、この村では生きていけない。

それでもバスは週に2回やってくるし
移動販売車から塩やアルコールを買うこともできるので
まったく外界から閉ざされているわけではない。
けれども人工的な娯楽や匿名性はなく、
人々は自然に寄り添い信仰心を持って朴訥に生きている。

映像を見る限りは放射性物質の汚染は全く分からず
あまりに淡々と話が進むので
高齢化と過疎化に悩む小さな村の日常を綴った映画かと
まるで錯覚してしまいそうでした。
でも映画の最後にクレジットが出てきて
今まで見てきたさまざまな村の場所での
放射性物質の検出量が示される。
その高さにまた、愕然とするのです…


村の日常は農作業や家畜の世話、毎日の水汲み。
女性達はさらに機織りや糸紡ぎ、保存食作りと大忙し。
寒そうな冬。暗い雪景色。
雪の中でも外で洗濯をする…もちろん手で洗う。
電化製品に頼りっぱなしの我が生活がなんと脆弱に思えることか。
でも女性たちは明るい色を身に付けてお洒落だし
みんな一様にロングスカート姿。
動きやすさからいえばパンツの方が勝ると思うのだけど
ここではその需要は無いようだ。

短い夏休みにはふだん離れて暮らす家族たちが帰郷して賑やかになる。
時には、ささやかなお祭りでのハレの楽しみもある。
宴では男たちは早々にウオッカで出来上がってしまうけれど
女たちはみな華やかな色のネッカチーフでお洒落をして
積極的に歌やダンスに興じている。
楽しくてやがて切ない、そんな華やぎ。

そして何より村人達の心の拠りどころは「泉」にあった。
この泉だけは放射性物質が一切検出されない。
“百年前からの湧水だから”らしいが、
本当にそれが理由なのだろうか。
「何か」が水の中に棲んでいるのではないだろうか…と
映画を見ながら漠然と考えていた。
それが何かは、全然判らなかったが。

土壌も森もきのこや農作物にもすべて汚染が認められるのに
とにかく泉だけは凛として清浄を保ち続けている。
そのせいなのか、事故当時まだ20歳だったアレクセイも
ガンや白血病などに罹患していない様子だった。
画面を見た限りでは動植物にも奇形や異状は見当たらない。
そこまでは描いていないせいかもしれないけれど。

でもアレクセイは結婚して家族を持つ気はないらしい。
老いた両親の傍に居てあげたい気持と
自分の身体に障害があることを気にしてなのか?
しかしこのままでは、村は本当に消滅してしまうだろう…
次世代を担う、子供が一人もいないのだから。

本当に淡々と、物語は進んで終わる。
アレクセイは今40代半ばのはず。
元気に過ごしているのだろうか。
そして村は、どうなっているんだろう?


同じく本橋成一監督の「ナージャの村」とともに
ポレポレでの上映は特集終了後も継続だそうです。
6月3日までの追加上映、リピーター割引もありとのこと。
興味のある方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
派手さはないのですがジワジワ余韻の来る作品です。
坂本龍一の音楽も映像に添う感じで静謐でした。
ポレポレ坐1階にあるカフェも落ち着けるのでお薦め。
http://www.mmjp.or.jp/pole2/
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2011年05月07日

「祝(ほうり)の島」

この連休中にポレポレ東中野で開催されていた
「特集上映 25年目のチェルノブイリ」に行ってみました。
http://www.mmjp.or.jp/pole2/
まずは「祝(ほうり)の島」についてご報告。

瀬戸内海有数の漁場、周防灘と伊予灘の間に位置する「祝島」。
過疎化と高齢化に悩みながらも
今なお漁業の盛んな自然の美しい島です。
その祝島の対岸わずか4キロの田ノ浦に
1982年、原子力発電所の建設計画が浮上。
当然島では激しい反対運動が持ち上がり、
以来、多くの訴訟や政治的闘争を繰り広げつつ
30年近い反対運動は今なお続けられています。
この映画はそうした島民の日常を追いながら
原発建設反対運動を描いたドキュメンタリー。

まず何よりも、地に足つけて生きてきた人々の
魂からの叫びが本当に胸を突きます。
祝島はもとは「岩井島」だったというぐらい
岩だらけで平地が少なく、
決して人が住むのに恵まれた環境ではなかったけれど
その分、自然に寄り添って謙虚に懸命に生きてきた
島の人々の結束は固かったようです。

それが原発問題を境に反対派(9割)と推進派(1割)で
人の絆までバラバラにされてしまった。
元々はみな良い人なのに、それがとても悲しいと話す
島民の方の言葉がいちばん印象的でした。

でも島の人たち、特に女性が明るい、逞しい。
笑うときはもう大笑いで笑い転げる、その明るさ、強さ。
その姿に救いを覚えます。
そして反対デモはなんと30年近く毎週続けられている。
みんなで「原発絶対反対」の鉢巻をきりりと締め、歩く、歩く。
飼い犬まで鉢巻つけて歩いている。
その粘り強さにまた驚愕。本気なんですね。

上映終了後、ポレポレの場内には拍手が沸き起こりました。
上関原発は現在、福島の影響もあり
一時的に計画をを凍結しているそうです。
しかしながらまだ撤回には至っていません。

東中野での特集上映は終了しましたが、
今後も「祝の島」は各地での上映が予定されています。
都合があえば是非、足を運んでみて下さい。
http://www.hourinoshima.com/

上関原発問題についてはこちらもご参照を。
まずはぜひ、知って下さい。
http://stop-kaminoseki.net/
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2011年04月18日

かもだる田の感想などなど…

すみません、すっかりアップが遅くなりました。
かもだる田バラエチー公演「花の精」の感想です。

まずは「だるま食堂」http://darumashokudou.com/の皆様、
私は全くの初見だったのですが
とっても楽しくてたくさん笑わせて頂きました。
3人の個性のバランスが絶妙ですね。
自虐と言えば自虐だけど決して悲惨でなはく
ありのままで押し切ってしまうパワーがスゴク頼もしい。
女性3人のコントでこういうスタイルってありそうで無いような。
卑屈だったり媚びが入ったりすることが全然なくて
本当にアッケラカンと笑えます。心身に良い笑いです。
しかも子供向けではなく、ハイレベルです。
私の後ろの席にいたお客さん(女性2人)なんて
まるでアゴが外れそうなぐらい笑いっぱなしでした。
ワンマンライブも観てみたいです。

「かもねぎショット」の皆様。http://www.jah.ne.jp/~kamonegi/
高見さんの、相変わらずの“いつもなぜか疎外感”が
さらに研ぎ澄まされてきた感じでモノスゴク可笑しい。
栗栖さんの濃ゆ〜いお人よし加減がやっぱり可笑しい。
井草ちゃんのクールな可愛らしさがまたまた可笑しい。
ひまわりの花になりきった会話や、「新たなミッション」で
背中伝いにボールを送る表情が真剣に馬鹿馬鹿しくて良かったです。

多田慶子さん。
今回は可憐な花売り娘に始まって
最後はオオカミを手玉に取る姐御の貫禄を見せてくれました。
花売り娘の笑顔はコワいほどに可愛らしかったです。
姐さん、何を演じてもカッコイイ。
多田さんのブログはコチラ→ http://tadahitori.exblog.jp/

ラストシーンの全員での「花の精」コスチューム(というか被り物…)での
アカペラでの熱唱は涙なしには聴けないほど可笑しかったです。
ホントに楽しい公演を拝見できて幸せでした。
震災直後はリハーサルもままならなかったらしいのですが
そんな苦労は微塵も見せずプロに徹していらした皆様、
ありがとうございます。お疲れさまでした!
次回の企画も楽しみにしております!
posted by masako at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 見てきました。

2011年04月15日

花の精

かもだる田バラエチー「花の精」の初日を見てきました。
面白くて元気になれることウケアイです。
今日も2時と7時に公演があるのでお時間と興味のある方お薦め。
場所は下北沢のしもきた空間リバティ。
http://stage.corich.jp/troupe_detail.php?troupe_id=5874

詳しい感想はまたあらためて。
posted by masako at 09:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 見てきました。

2011年01月27日

ヒット・ガール!

先日、映画に行ってきました。
観てきた作品は「キック・アス」。

ご存知の方も多いと思いますが
アメコミ原作でなりきりヒーロー炸裂の
お馬鹿青春コメディかと思いきや
実はこれが後半はかなりブラックな復讐劇に
話がどんどんすり替わっていくという
油断のならない問題作。
やや見る人を選ぶと思いますが(そもそもR-15だし)
荒唐無稽な展開ながら
キャラ設定とキャストが絶妙にハマっていて
2時間近く飽きることなく楽しめました。

特にヒット・ガールを演じた
クロエ・グレース・モリッツの
可愛らしさとカッコよさ!
現在13歳の彼女は撮影当時は僅か11歳。
無邪気な笑顔と反比例する
残虐シーンのブラックさに唖然としましたがあせあせ(飛び散る汗)
アクションシーンを9割方自力でこなした
プロ根性もたいしたものです。
この映画を「面白い」と思う人で
ヒットガールに心惹かれない人はいないんじゃないかな。

映画のタイトルは「キック・アス」で
主人公が扮する自称ヒーローの名前なのですが
実際の主役は彼女でしょう、というほどの活躍ぶり。
ホントにキュートな女優さんです揺れるハート
父親役の「ビッグ・ダディ」ニコラス・ケイジも良かった。
続編が予定されているようですが
ぜひヒット・ガール主役でお願いしたいですっ!

未見の方、まだ公開中なので
多少のエログロ(特にグロのほう…)に抵抗がなければゼヒ。
評判の良さに公開規模をずいぶん拡大したみたいです。
決して大笑いするコメディではないけれど
(子供による残虐行為の是非はともかく)
クロエ嬢の大奮闘アクションシーンは必見です!


「キック・アス」公式サイト
http://www.kick-ass.jp/index.html
※音が出ますのでご注意☆
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2010年12月22日

「黴菌」を観てきました。

昨日、シアターコクーンで「黴菌」を見てきました。
2階の最前列、ほぼセンターの座席です。
俯瞰して見るスタイルが好きな私には理想的な距離感でした。
リビングルームのセットがとても素敵!
映像の始まり方もとても良かったです。
休憩を含めて3時間半という長さは全く苦になりませんでしたよ。
立ち見の人は大変だったと思うけど。

役者さんでは仲村トオルさんが抜群の存在感でした。
暑苦しいほどイイ人の役なんだけど、
なんかもう、出てくるだけで爆笑しそうだった。
対照的にクールな妹役の緒川たまきさん、相変わらずとても美しす揺れるハート
ワンピース姿が清楚なのにしたたかでチャーミング。

高橋惠子さん、舞台で拝見したのは(多分)お初でしたが
女優さんオーラ全開でキレ〜でした。
泣き方は上品過ぎた気がしますがあせあせ(飛び散る汗)

北村一輝さん、エキセントリックな役柄だったので
劇中はあまりそう思えなかったのだけど
カーテンコールで真正面から見たら
あらやだやっぱりかなりの男前だ・・・
舞台袖にハケていく歩き姿すら色気たっぷりで
つい目が行っちゃう感じですた。

お話については、ネタバレにならない程度に書くと
脳病院での事件と院長の画策を
もうちょっと掘り下げて見てみたかった気もします。
そこだけでもさらに深い話になったろうなあ、と。

残念ながら私は涙腺緩まなかったんだけど
(泣いている人達ももちろんいましたよ)
あのラストは嫌いじゃないです。
面白かった!
観に行った甲斐はじゅうぶんありました!
ケラさん、次回作も期待しておりますひらめき

KERA+シアターコクーンプロデュース「黴菌」
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/shosai_10_baikin.html
posted by masako at 17:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 見てきました。

2010年10月30日

自由が丘のグループ展(その2)

早いものでもう一週間が過ぎてしまいました。
恩師・坪内正紀先生が主催なさったグループ展「集」。
私は23日土曜日の昼間におじゃましたので
ソプラノの生コンサートと
美味しいお菓子つきの茶話会にも
シッカリ参加してまいりました。

美しい歌声を聴かせて下さった平野真理子さんは
音大卒ではなく理系の出身。
工学修士の資格を持つ異色の経歴の持ち主です。
「女心と秋の歌」をテーマにした選曲で
彼女のおしゃべりも楽しみながらあっという間の1時間でした。

個人的にはプッチーニ作曲の「ラ・ボエーム」の
ムゼッタのアリアはバーレッスンでよく耳にする曲だと再確認。
エクササイズ的にはフォンデュの辺りかな。
多分ダンサーならわかるはず…というか
ダンサーにしか通じない話ですね、スミマセンあせあせ(飛び散る汗)


ギャラリーコンサートが行われた地下の部屋では
坪内先生の作品がずらっと展示されていました。
色使いやデザインのバリエーションも豊富で
それぞれ見入ってしまいます。

先生ご自身も昨年の展示会でイチオシの
デザイン画(私も大好きな作品です)をプリントした
トレーナーを着用されていて
真に創作を楽しまれているご様子でした。

1010291.jpg 心温まる優しい色使い黒ハート
                   紙の質感も面白いです

1010292.jpg 額入りのポストカードを
                   頂いてしまいましたぁ(笑顔)


1階の展示室にはアートフラワーやステンドグラス、
イラストなどの作品群がとてもセンス良く並べられていました。
ちなみにパッチワークの作品を出展していたのは同期のおともだち。
彼女にも卒業以来久しぶりに会うことができて嬉しかったです^^

1010272.jpg 陶芸作品もありました。スバラシ〜!

定年されてから華々しくデビューを果たした(?)
先生のパワフルな行動力は当分止まりそうにありません。
ああ、私もがんばらないとあせあせ(飛び散る汗)

blogpapercut2.jpg
ちなみに先生のトレーナーのデザインは
コレです!
posted by masako at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 見てきました。